手外科・上肢外科センター
手根管症候群、腱鞘炎について



手の外科で比較的症例数の多い手根管症候群、腱鞘炎(ばね指、弾発指)についての説明と、
当院で行っている手術治療法について簡単にご説明いたします。
手根管症候群
症状
示指(人差し指)、中指(なか指)を中心にしびれ、痛みが出ます。環指(薬指)、母指(親指)に及ぶこともあります。この痛み、しびれは明け方に強く生じ、手を振ることで楽になります。
母指の付け根(母指球)がやせてきて、縫いものなどの細かい作業が困難となり、OKサインも出来にくくなります。
原因
職業あるいは日常生活における手の過度な使用、手関節骨折・脱臼・変形の後遺症、腫瘍、腱鞘炎、透析、全身性疾患(糖尿病・関節リウマチなど)、神経・筋の奇形などが知られています。
女性では妊娠出産期と更年期に発症のピークがあります。この原因としてはホルモンの乱れによる腱の浮腫、神経の易損性亢進(もろくなっている)が考えられています。
病態
正中神経が手首にある手根管というトンネルで圧迫された状態です。
治療
麻酔後手首に約1.5cmの切開を行います。切開部分から透明なプラスチックの筒を手の平に向けて差し込み、その中にカメラを挿入します。モニター画面を見ながら神経を圧迫している靱帯を切開します。
手術時間は麻酔を含めて10分~20分程です。術後の抜糸は吸収糸を使用しているので、必要ありません。
ばね指(弾発指)
症状と原因
指は腱によって指の曲げ伸ばしをすることが出来ます。さらに指を曲げる屈筋腱には、腱の浮き上がりを押さえる靱帯性腱鞘というトンネルがあります。 屈筋腱と靱帯性腱鞘の間で炎症が起こると、指の付け根に痛み、腫れ、熱感が生じます。
これを腱鞘炎と呼び、進行するとバネ現象が生じます。これがばね指です。 主に妊娠時、産後や更年期の女性に起こることが多く、右手の母指に最も多く発生します。
病態
指の使いすぎによる刺激のため腱鞘が肥厚したり、腱が肥大硬化したりして、そのために一層刺激が強くなるといった悪循環を生じるために、腱鞘と腱が引っかかるようになります。
治療
手術療法:針を刺して、腱鞘部分を切開します。
手術室に入室してから退室するまでは、20分程かかりますが、手術そのものは最短1分で済むこともあります。針を刺すだけですから、手術の傷は残りません。